■AI時代にはメディアの“現場取材の価値”が上がる?
ジャーナリストの堀潤氏は、取材にAIが欠かせないという。「アラブでインタビュー取材をして、日本語翻訳を頼むと、僕が気づいていなかった武装勢力の名前が出てきて、『その話だったのか』と知ることができる。AIコンテンツが広がるほど、個人のジャーナリストが際立つ。新聞社やテレビ局といった従来型のものを全部ぶち壊して、報道のあり方をリビルドするきっかけになればいい」と語る。
そして、「AI時代のメディア運営を考えて、人に投資する経営者が生まれてほしい」とも願う。収益を上げるために、合理性や効率ばかりを追ってしまっているが、もう少し『むき出し』のニュースに返るべき。ある新聞社の記者は、省力化のために改革した結果、調査報道の現場から資金が引き上げられたと。浮いた分は逆に突っ込んでほしいということで、経営者のアップデートが足りていない」。
これに田島氏は「ジャーナリストは原点回帰していく」と予想。「AIを使って誰でも“こたつ記事”を作れるようになった時、一周回って“取材のほうが効率が良い”となるのでは。その人にしか取材できない場所は結構あって、『俺ならあの社長に電話1本でアポが取れる』というのは価値がある。未来のインタビューは、スマートグラスで全部録画して、AIが次の質問をアドバイスし、取材が終わった瞬間に記事ができ、少し手直しして公開する。そんな“超取材重視型”になるだろう」と推測した。
■個人は“第2の自分”を作る時代に?
