■個人は“第2の自分”を作る時代に?
シモダ氏は「発信側だけでなく、受信側もAIを使うようになっていく」と、今後のAI時代を見ている。「新聞を読み慣れていない若者が、読みやすい形にAIに変えてもらう。『動画でしか頭に入ってこない』という人も、AIにその場でニュース番組を作ってもらう。信頼できる一次情報を元に、AIが受信側の知能や性格に合った形で説明してくれる時代は、あっという間に来るだろう」。
文芸評論家の三宅香帆氏は、「文章作成や発信は、将棋みたいな世界になってくると思う」とし、「棋士がAIを使って強くなったのと同じで、AIを裏で使いこなせる人が発信上手になっていく。記者も『文章力はAIでいい』となれば、AIを能力の一部として、取材力を伸ばすようになるのではないか」と見通した。
田島氏は、「話を聞いた大学の先生は、学生のレポートにAIを使っていい代わりに、その指示も一緒に書くよう指導しているという。『どういう意図を持ってAIを使ったか』を説明できる人が、今後どんどん社会に出て、AIを使うことが当たり前になるぐらい“身体性の拡張ツール”になる」と指摘。
この先は“第2の自分”が作られてくるといい、「日頃から自分の発言をログにためておけば、精度が高まった時に良いエージェントが手に入る。議論や調査を“第2の自分”に進めてもらって、自分を一番理解している存在から『これ興味あるかもよ』と教えてもらえれば便利だ」と期待する。
「従順なAIが前提になっているが、反抗してくる未来も想定したほうがいいのでは」と堀氏が心配すると、田島氏は「AIが直接歯向かうよりは、AIが言論をコントロールした結果、人間が内戦を起こすほうが現実的で怖い」と返す。
堀氏は、イーロン・マスク氏が経営するXを例に出し、「そこで世論がどれくらい形成されるのか。チェックを他のAIでやるのか、人力なのか。どんな情報であっても、『ここのラインは守ろう』という合意形成をできる訓練をしておかないと、おっかない社会になる」との懸念を示した。(『ABEMA Prime』より)
この記事の画像一覧


