■DEEP DIVEとは?

DEEP DIVEとは
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 「DEEP DIVE」とは、一般社団法人で、非営利の民間インテリジェンス組織として設立された。小原氏が代表理事、小泉氏が理事を務める。ミッションは「デジタル公開情報/衛星情報インテリジェンスにより、日本社会にとって必要な警告をいち早く届ける」ことにある。

 クラウドファンディングが成功し、小原氏は「これだけ多くの方に、支持・賛同いただいたことに感謝している」と喜ぶ。「会社ではなく社団法人として立ち上げた。利益追求ではなく、少しお金がかかっても必要なことをやりたい。DEEP DIVEは、あらゆるもののハブを目指している」。

 日本における衛星活用について、「政府は自前の衛星を上げて、解像度の高い画像で分析をしているが、そのデータは秘密で表に出ていない。災害対策や農業、資源探査にも使えるが、安全保障面では『どれくらいの解像度で、何が見えている』と言ってしまうと、探索能力がバレてしまう」といった現状を説明しつつ、「政府と国民のハブになって、『民間情報でも、このような予測ができる』と伝えることで、それを元に議論してほしい。もし違うなら、政府は『違う』と言ってくれればいい」と願う。

 日本政府には、軍事情報の共有に合意している国がある。「約束している国との間では、秘密の情報をやりとりできるが、そうでない国とはできず、共通の現状認識を持てない。すでに外国の政府は、綿密な情報分析をする軍事目的ではなく、議論にもちいる外交目的として、私たちの活動に関心を示している」。

 加えて、目指しているのが「政府と地方自治体のハブ」だ。「最近よく“台湾有事”が話題になる。先島諸島や南西諸島の住民が、いつ逃げればいいのか、自治体は計画を立てているが、いつ発動すればいいかわからない。国民保護法は、武力攻撃があって初めて適用される建前だが、その前のグレーゾーンで逃げないと遅い可能性がある」として、判断基準となる情報提供を提案する。

 小泉氏は「政府は情報を公にしにくいため、言える立場の人間が、自分たちで情報を集めて発信すればいい」と、団体の使命を語る。情報を出すことで、不安をあおるのではとの声もあるが、小原氏は「根拠のないデマでは、そう言われるかもしれないが、私たちは明確な根拠を示す。一方的に流すだけでなく、意見を集めたい。そういった意味でもハブだ」と反論する。

 活動していく中では、DEEP DIVEが「本当に日本のためにやっているのか」「スパイなのではないか」と疑われる可能性もある。小泉氏は「我々が言っていることを見てもらうしかない。僕たちが発信するニュースは、いい知らせだけではなく、ポジティブな反応ばかり返ってくるとは思わない。ただ、3年前のウクライナ戦争が始まる前は、僕も含めて、世界の軍事を見ている人たちが衛星を見て、『攻撃の準備態勢に入っている』と危険性に気づいていた」と振り返る。

■「分析を続けていくためには資金がいる」
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