■今の時代、金八先生はもういらない?

チーム担任制
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 名古屋市立八幡中学校の高橋幸夫前校長は、「今の教育現場に金八先生は不要」と考えている。「自分も金八先生を見て涙していたが、それは工業社会のころの話で、今は教員ひとり一人の強みを生かす時代になった」。

 チーム担任制を導入したのは、「“担任ガチャ”に外れた生徒は、『1年間が地獄になる』と言う。人間によって合う、合わないは絶対にある。スーパー教師が教えるよりも、チーム担任制で、多くの価値観に触れさせた方が、自己決定能力が増すのではないか」といった理由からだ。自分自身も「昔で言う“不良”とは話せるが、メンタル的に弱い女子生徒は苦手だ」と明かす。

 「令和の金八先生」を目指す元教員で、NEXTAGE SCHOOL(ネクステージスクール)代表の髙澤典義氏は、「我が身を犠牲にしても働く気概が必要だ」と語る。「“苦手”と言いたくない。言えばそちらに引きずられる。“担任ガチャ”のようなネガティブな言葉が一般化するところに問題がある」。

 そうした状況下で、なぜ金八先生が必要なのか。「教育では、よく“不易と流行”といわれるが、その不易は“熱”だ。熱意を否定されると、教員に限らず成立しない。“熱血”の枕ことばがつくのは教師ぐらいだが、それが不要だという理由が分からない」と首をかしげる。

■教師と生徒、様々な関係
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