ハヤカワ五味氏は、「小学校時代に担任からいじめを受けていた。そもそも教師には、精神的な成熟性が求められていない。無能な人が熱血になったら厄介だ。ほどよい距離でいたい一方で、お世話になった先生もいる」と振り返る。
笑下村塾代表取締役のたかまつなな氏は、「熱血さが『教師は聖職であるべきだ』という価値観を助長した側面があるのでは」と指摘する。「長時間労働で過労死ラインまで働いている教師がいる。生徒が補導されたとき、迎えに行くことについて、文科省は『教師の役割ではない』と言っているが、金八先生では教師の役割になっているだろう。業務が増えて志願者が減っている背景には、金八先生の影響が大きいのではないか」。
漫画「ドラゴン桜」の編集担当で、ドラマ「御上先生」の教育監修も担当した西岡壱誠氏は、「教師の8割以上が『経費申請しないで自腹で買い物をしたことがある』と回答したというデータがある。生徒の鉛筆や、学級文庫に置く本を『経費申請が面倒だから自分で買う』という先生は結構いる。『先生が置いた本を読みたい』という生徒は絶対にいるが、その“熱”は令和の時代では否定される」と紹介する。
EXIT・兼近大樹には、忘れられない思い出がある。「中学で生徒が合唱練習するなか、自分は働いていた。仕事が終わって家で寝ていたら、みんなが『一緒に歌おう』とやって来た。『なんで疲れている俺を呼びに来るんだ』と腹が立ったが、普段全く合わないと思っていた先生だけが『お前、働いてるもんな』と理解してくれた。その時に、人間捨てたもんじゃないと感じた。学校は『合わない人でも、理解できる部分はある』と知る場でもある」。
■教師に求められるものとは
