性的広告は“表現の自由”? 

性的広告は“表現の自由”?
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 性的広告をめぐっては、伊藤議員の質疑の後、SNS上で政治家による論争も起きている。反対派の自民党・山田太郎参院議員は、「青少年健全育成条例の名のもと、様々なコンテンツが不健全図書へ有害図書指定され、ゾーニングという形で表現規制されてきたことと同じだ。『コンテンツをタバコのようにゾーニングすればよい』は、非常に乱暴な表現規制の容認だ」と述べた。これに対し国民民主党の玉木代表は、「問題はエロ広告の押し付けだ。特に問題なのは、出稿媒体すら了承していない広告がアドネットワークというシステム上、勝手に表示されてしまうこと、何らかの手当てをしないとエロコンテンツそのものを規制しろという流れになることが心配だ。ともに表現の自由を守っていこう」と応戦した。

 両者の主張を受け石田氏は以下のように指摘する。

「山田議員のX投稿に関しては賛否あると思うが、3月27日の毎日新聞の中で、野放しにされる広告っていうことで、学校のタブレットにもなぜ規制進まずという、記事があるがその中に、単に不快だからという理由で法律や行政による規制を求めることは表現の自由を全面否定することになるという、この『不快かどうか』というのが基準になりやすいという意味では、山田氏の懸念は非常にわかる。エロやそのこと自体が悪いというスティグマになってはいけない。例えば、生産業への従事やセックスワーカーの権利などを考えた時に、『エロだからダメ』というふうに、関係者は思っていないと思うが、そのように受け取ってしまう人も多分たくさんいると思う。その際に、エロ広告をどう規制するかということの議論の立て方自体は慎重になるべきだと思う。その結果、『これは不快だから規制してください』という流れになってしまっては危うい」

 学校のタブレットに性的広告を含む不適切な広告が表示されるという相談について、「ときどきあった」が6.3%、「頻繁にあった」が0.1%となっている。株式会社arca代表取締役でクリエイティブディレクターの辻愛沙子氏は「大手が広告出稿の自主規制をすればするほど、『やらないのならうちがやります状態』になっている。実際アダルト広告で大きな利益を上げている業者があり、いたちごっこになっている。各社の自主性に委ねていても解決しない」と指摘している。

 学校のタブレットに不適切な広告が表示される事例に、石田氏は以下のように主張する。

「もちろん問題だとは思うが、これはリスクを0にするべきなのかという議論にも関わってくる。広告に限らず、インターネットに明らかに問題があるようなムーブメントがあって、それを今の技術でほとんど補足できないものを、どう子どもと距離を置いてもらうか、あるいは子どもに触れさせないのか、あるいは触れさせた上で何かをこう学んでもらうのか、いろいろなアプローチがある。そうすると、『ゾーニングしてリスクゼロです』という社会はかなり難しいと思う。広告に限らず、タブレット、学校の空間の中でそういうのが出てこない方が100%いいと思うが、家に帰って触れていたら結局一緒じゃないかというところの方がより本質的な議論だと思っている。規制やゾーニングももちろん大事だが、もし触れた上で、それを適切に自分の中で処理できるのか、どう向き合っていくか、まで議論を進めないと、表現の自由か否かというところだけに問題が終始してしまう」

性的広告の自主規制に限界も?
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