まずは求人のネックになる壁を取り払った。度重なる法改正により、4トントラックは限定解除が必要となると、会社が免許取得をサポートして、未経験者の確保を行うことにした。社員は「働きながら免許を取りに行った。トラックに乗りたくて、やっと乗れて楽しい」と喜ぶ。
トラック業界に多い「経験者優遇」から、新人を一から育てる方針を徹底し、従業員を定着させるために手厚い福利厚生を取り入れた。社員は「(男性の)育休を1カ月丸々とって、しっかりと育児に専念しようかなと思っている」と話す。また、女性社員には年間1万円のコスメ手当も支給している。
待遇を良くしたことにより、運送業の離職率が33%とされるなか、カワキタエクスプレスは5%。平均年齢も29歳となった。加えて川北社長は、走れば走るだけ儲かると言われた、運送業界の“歩合制”を変えた。「やっぱり“売り上げ歩合”が多い。そうすると(ドライバーは)売り上げを追う。この仕事は3万円、この仕事は5万円、この仕事は1万円……。例えば『なんであいつ5万円なのに、僕は1万円なの』とか結構、運送会社あるあるだ」。結果として、ベテランが割のいい仕事を持っていき、若手や新人に効率のいい仕事が回らないことでやめていってしまう事例も多いそうだ。
これを16年前に「月給制にして、残業手当や時間外手当をちゃんと払う」ように変えた。改革当時を知るドライバーは、「当時やめていった人もいたが、(月給制になってからは)スキルがあれば給料も上がるし、本当にいいと思う」と話す。
ドライバーの苦労とやりがい
