■「トランプ氏に理屈で説明するのは無駄」

井出真吾氏
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 ニッセイ基礎研究所主席研究員の井出真吾氏は「全体としてはマイナスだが、プラスに変えるチャンスにするしかない」と語る。「(トランプ氏は)世の中の、世界経済の構造を変えに来ている。トランプ氏に理屈で説明するのは、どう考えても無駄だ。そうなると、構造変化を受け入れて、どう対応していくかだ」。

 ホワイトハウスの公式Xによると、関税率は中国で54%、日本は24%とされているが、「関税率だけを見ると、日本は若干有利。マイナス幅がすこし小さい。ジェトロ・アジア経済研究所の試算によると、結果的に日本が棚ボタ的なメリットを受けるかもしれないと言われている」と説明。

 その理由については、「結局、中国はじめ、他のアジア諸国の関税率は非常に高いので、同じクオリティのものを同じ値段で出したら、日本の方が安くアメリカに売れるということ。関税が低いと、需要がアジア諸国から日本に戻ってくるかもしれないという試算だ」。

 しかし、「トランプ政権が発表する前の試算だから、例えば韓国はもっと高い関税を課される前提で試算されている。蓋を開けてみたら日本の24%に対して韓国は25%。ほぼ同じだから、韓国から日本に需要がシフトするのは、関税の面からは期待できない」と述べた。

 元経産官僚の門ひろこ氏は、「日本にとっては本当にチャンス」だといい、「日本はほとんどの国と自由貿易協定を結んでいるので、うまく利用するのはチャンスだし、同時に日本こそがこの新しいトランプ時代において新しい経済秩序を作るくらいのことを言うべきだ」。

 一方で、「トランプ関税は、そもそも実行できるのか疑問だ。関税は品目別だが、(トランプ関税は)国ごとでしか書いてない。この品目が実際どうなっていくか、よくよく見極めていかないといけない。なので、今の報道が上滑りしている印象だ」との見方を示した。

■トランプ氏の要求を“丸飲み”すべき
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