■「みんな一緒」の弊害は? 個性重視の教育が逆効果に?

 学校での同調圧力に対する危惧は、文科省の中央教育審議会でも示されている。「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」(2021)では、「学校では『みんなで同じように』を過度に要求する面が見られ『同調圧力』を感じる子どもが増えた指摘もある」「。結果としていじめなどの問題や生きづらさをもたらし非合理的な精神論や努力主義など負の循環が生じかねない」としている。

 のぶさんは、「みんながそろっていることが当たり前になると、そこからはみ出ている子に対しての目が厳しくなる。人間関係の構築は一番重要なことだが、枠にはまらない子を攻撃する構図が生まれてしまう」と指摘。体育祭を例に出し、「応援で声を出せない子がいる時、教員が一緒に『出そうよ』と言うのは正しいのか。“練習に参加しているだけですごいんだ”と、目的に向かって先生が手綱を引く必要がある」と話す。

 パックンは「集団生活に加えて、個人の実力主義のスキルも持ってほしい」と投げかける。「特別活動では、上下関係の形成が育まれ、マニュアル通りに動く良い社員にはなると思う。しかし、社会を新しく作ったり変えていくような、自主的な人にはなりづらい。『自分たちで議論して決める』個人生活もやるべきだ」。

日本の「個性を伸ばす教育」が裏目に?
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 古川氏は、同調圧力が強まった背景について次のように語る。「1980年代から1990年代以降の“個性化教育”が始まって以降、伝統的な集団主義や画一主義が批判され、個性の重視と創造性を育むようになった。学校内でも『積極的に意見を言いましょう』といった活動が増えたが、それとは裏腹に、子どもはお互いに空気を読み合い、集団から浮かないように気を配るような傾向が出てきた。“KY(空気が読めない)”という言葉が出てきたのも2000年代だ。伝統的な集団主義教育で重視してきたのは、合う人間も合わない人間も安心していられる“学級づくり”。その土台がない中で意見を求められても、当たり障りのないことを言おうとする意識が働く」。

 Z世代の承認欲求に関する意識調査(SHIBUYA 109 lab.調べ)では、「大勢の前よりも、個別で褒められたい」が62.7%にのぼり、「大勢の前で褒められるのはちょっと負担。目立つし、嬉しさより恥ずかしさが勝ってしまう」などの意見が出た。

 こうした声に古川氏は「規律も一定程度は必要だが、情緒的な絆も必要。集団の安定性があって、初めて個性が発揮できるわけで、『集団か、個か』と対立させるのはおかしい」と述べた。(『ABEMA Prime』より)

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