警察庁によると、届け出のあった認知症の行方不明者の数は、過去最多の1万9039人(23年)。認知症の人を含む行方不明者の情報提供を呼び掛ける日本失踪者捜索協力機構(MPSジャパン)の元にも相談が増えているそうで、柳学代表理事は「大体9割以上は発見されていると思う。1割弱はまだ見つかっていない現状だが、どこかで保護されている方がいるかもしれない」と語る。
そして、今この瞬間も帰りを待つ人たちがいる。大阪府和泉市に住む、岡崎良子さん。
2024年9月、夫の洋さん(82)が午後に自宅を出たまま、行方がわからなくなった。洋さんは6年前から認知症を患い、自分の名前は言えたものの、住所や電話番号は言えなかったという。
「『俺はもう家へ帰るんや』とは常に言っていた。『ここが自分の家だよ』と言っても、『いや、違う。別に家がある』と」
洋さんがいなくなったのは今回が初めてではない。良子さんは常に注意を心掛け、門扉にはカギを掛けていたそうだが、その日に限って忘れてしまった。「2人でこたつでテレビを見ている間に、私がうつらうつらしてしまい、その間に出て行ってしまった。それを一番悔やんでいる。とにかく早く帰って来てほしい」と、涙ながらに話す。
洋さんは歩く際、左肩が下がり、右手の位置が胸元にくるという特徴があったという。自宅マンションの防犯カメラからは、当日の服装は黄色のノースリーブに黒の短パン、黒のスニーカーを履いていたことがわかっている。ただ、財布や身分証などは何ひとつ持っていなかったそうだ。
マンションを出た後は徒歩で移動し、約250m離れた交差点でも防犯カメラに捉えられていた。坂を上がっていく後ろ姿も映っていたそうだが、その後の足取りはわかっていない。
「自分が目を離した隙にいなくなってしまった」。良子さんはずっと自分を責め続けている。
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