中国や東南アジアなどがアメリカから高い関税をかけられている中、他のアジアに比べてチャンスだという見方もされているインド。
インドの「内需主導型の経済構造」について、第一生命経済研究所主席エコノミストの西浜徹氏は以下のように解説する。
「経済構造面だが、個人消費を中心とする内需の割合が高い。つまり、輸出依存度が低いということは、関税による直接的な影響を受けにくい体質。GDPの中の構成比率の中で、個人消費が大体5割超えている。結果、個人消費が経済成長のけん引役になってきているという流れ。そうすると、国内できちんと消費ができるような環境、その裏には当然雇用が生まれるということも必要だが、そういった状態がきちんと生まれていけば、インドは安定的な成長ができる。プラス人口の多さ。世界最大の人口となったが、大体2050年くらいまでまだ人口増加が続く。一方の中国は人口が減少している。伸びしろの高さという観点で見ても、やはりインドは注目が高い」
また、世界からのインドへの期待については、「期待の高さというのはある。特に近年、インドは8%くらいの成長をずっと実現している。また、今、インドの1人当たりGDPは大体2500ドルくらい。いわゆる新興国から先進国に成長してきた中で見ると、日本に例えると、2500ドルというのは大体1980年前後くらい。つまり高度経済成長前夜くらいの状況で、前の万博が開かれていた時期に類する。そういう感覚で見ると、インドは非常に高い成長もでき、人も増え、期待の高さに繋がっているのだろう」と述べた。
またGDP全体が増えている要因については「まだ人が増えているからという要因が大きい。1人当たりGDPの伸びを考えると、例えばアジアの国々、近年成長してきた1980年代、90年代のASEANやNIES諸国の1人当たりGDPの伸び率と、今のインドの1人当たりGDPの伸び率を考えると、少しインドは低い。つまり、生産性がまだ低い。これを高める努力をしていかないと、実は意外に伸びが収まっちゃう可能性がある」と分析する。
インドの「等距離外交」から学べることは?
