■乙武洋匡氏「40年経って何も変わってないことに驚き」
著書『五体不満足』がベストセラーの作家・乙武洋匡氏は、自身の経験を次のように語る。「生まれ持った障害によって、かなりの選択肢が限られてきた。義務教育の小学校から大変で、障害者の受け入れに積極的だと当時から表明していた私立ですらも、私の場合は門前払い。建設的な対話すら持ってもらえなかった。ありがたいことに、世田谷区の教育委員会が向き合ってくれて、異例中の異例ではあるが、保護者が登校から下校時まで付き添うことを条件に、特別支援学校ではなく地域の学校に通うことができた。驚いたのが、3年前に(参議院)選挙に出た時、演説に駆けつけてくださった障害児を育てている母親が、『私は今付き添いをしていて、そうじゃないと入学を認められなかった。そんな状況を変えてほしい』と。40年経って何も変わらないことがすごく驚きだった」。
また、ネットに上がる、「そういう子だけのために『配慮』?税金のムダ」「『自分が入るから設備用意しろ』はぜいたく」といった声に反論。「これらは、エレベーターがない前提での意見だと思う。公立の小中学校で設置率31%という数字は、40年前ならしょうがないと思うけれども、今は2025年。そもそも学校という誰もが通うはずの場所にエレベーターがついていないことに対する疑問の声が、あまり聞こえてこないのが残念だ」と述べた。
そんな中、歌手・モデルの當間ローズは「僕が行っていた県立の学校で1人、不慮の事故で車いすになってしまった子がいる。その時、エレベーターではなく階段昇降機が設置された」というエピソードを紹介。
これを受け乙武氏は、「今回車いすの生徒を断った学校は、入学後に障害を負った生徒を退学させるのか?と。おそらくそうはせずに、なんとかしようとするのではないか。門前払いされたことで、お子さんや保護者が“社会から見放されている”という感覚を持ってしまうことが、すごくつらい」と訴えた。
■学校における「合理的配慮」線引きは?
