■ライバーとリスナーのトラブル、なぜ起きる?
ライブ配信のビジネスモデルは、ライバーが雑談、ゲーム、料理など様々な内容を配信、これを見たリスナーが「投げ銭」をすることで成り立っている。投げ銭は、リアルな「金」ではなく、スタンプやキャラクターなど別なものに形を変えてライバーに送られ、プラットフォームの手数料を引いた後、10~70%がライバーの手元に入る。投げ銭が増えるほど、ライバーはランキングで上位に入り、さらに「バトル」と呼ばれるライバー同士のコラボ対決にも勝利できる。一方でリスナーも、投げ銭の額は周囲からも確認ができることがあり、その額の大きさによって周囲から注目や称賛を浴びることもある。ただし、ライバーがリスナーとの距離をさらに縮め、配信上だけではなく、私的にやり取りしたり、場合によっては直接会ったりすることで、トラブルが生じているケースも少なくない。
ライバー事務所の代表も務める弥生さんは、刺殺事件について「ここまでではなくても、いっぱいトラブルが起きているので、最終段階としてあれは起こるべくして起こった。来るんじゃないかなと思ったことが起きてしまった」と振り返る。福岡は、1000人を超えるクリエイターが所属する事務所を運営しているが「一度もこういう事件が起きたことがない」と断言する。その理由としては「リスナーさんと直接の接触を禁止している。どこにも所属せず個人で配信をしている方は、ライブ配信の世界を超えて、リスナーさんと直接会ったり、メッセージのやり取りをしたり、そういうことで、金銭的なやり取りが発生してしまっている。ライブ配信というよりは、ちょっとしたパパ活みたいな感じになっているが、それを防ぐことができれば、こういう事件もなくなると思う」と、個人で活動することの危うさを指摘した。
ただ弥生さんは、事務所であっても管理の難しさを切実に語る。「私の事務所では『実は会っていました』と後からわかることがある。これはダメ、あれはダメと言うけれど、管理することが難しい」。また自身もリスナーと直接会うこととしては「オフ会や、特別な日にたくさん貢献いただいた方へ、特典プレゼントとして当時のマネージャーと同伴で2時間お食事する権利とか、そういう形もあった」と、リアルな交流をしたことがあると述べた。これに福岡は「直接会った方が稼げてしまうことがある。私は事務所でイベントを開いたり、タレントさんのように大勢から応援してもらえるような稼げるシステムを作っている」と、個々のやり取りでなくてもライバーたちに収益が出る仕組みを整えていると語った。
■投げ銭のイメージを「ホワイト」にするプラットフォームの責任は
