■投げ銭のイメージを「ホワイト」にするプラットフォームの責任は
リスナーに対して、より身近な存在と感じさせることでライバーの収入につながることもある構造に対して、危険性や違和感を抱く声もある。パブリックテクノロジーズ取締役CTOのTehu氏は「全然興味がなく、アプリも入れたこともないし、見たこともない」とした上で、「(ライバーとリスナーは)共依存だけど、全く均衡していないし、平等でもない。お金を出している側、リスナーからすれば、例えばライバーが福岡さんだったら福岡さん1人だけ。だけど福岡さんからしたら、結果的にどう思っているかは別として、半年で1億円に積み上がっても、そこにもう1人1人がいくら払ったなんていう情報は消えてしまう。そのバランスが気持ち悪い」。
さらに、お金を稼ぎたい、人に好かれたいという人間の生々しい欲望を、プラットフォーム側が、さもきれいに見せていると問題提起した。「プラットフォームのビジネスはすごくわかりやすくて、ホワイトニングビジネス。現実に引っ張り出してくると、結構エグいことをやっているけれど、その競争を楽しそうに見せている。(投げ銭も)1万円と見せるのではなく(スタンプの)ダイヤモンドにするとか。どんどんホワイトニングして、いかにも楽しそうに見えるけど、それを現実でやったらヤバい。いわゆる水商売のお店、夜のお店では『ここから先はやっちゃダメ』という顧客との向き合い方や訓練があるが、(ライブ配信では)そういうことがなされない人たちがたくさんいる。リスクを抱える仕事で、すごく恐怖を感じる」。
リディラバ代表の安部敏樹氏も、ライブ配信の問題点をあげる。「相手の人と1対1で夜、通話しているみたいな気持ちになっていくと、めちゃくちゃハマりやすい。そのハマっていく過程の中で、こっちは金を払ってほしいし、こっちは相手に好きになってほしい、みたいなものがどんどん深まる構図が、そもそも設計されている」。
■投げ銭利用者は約340万人、市場規模は約367億円
