法的観点と死者の権利をどう考えるか
本件で法的にどのような問題があるのかについて、弁護士の佐藤みのり氏は「本人の承諾があれば販売は可能だが、本人の承諾がない場合に出すことは、倫理的に許せないこと」と指摘する。
さらに、肖像権やプライバシー権などの人権は基本的に生きている間に限られており、亡くなった後はこれに基づいて権利主張するのは難しいのが現状であるという。ただし、「リベンジポルノ防止法」には違法行為が含まれる可能性もあるとして、「性的なものを、同意なく不特定多数に出すということは、違法になる可能性はある。そこで罪に問うていく可能性は残されているかなと思う」とコメントした。
また、事前に販売を中止するなど、差し止め請求について佐藤氏は「所有権または著作権がどこにあるかが争点」とした上で、「ご遺族が、こんな私的なものは売ってない、この(写真の)所有権は八代さん本人にあって、私たちが相続していると、権利に基づいて請求していく可能性はまだあると思う」との見解を示した。
一方で、名誉毀損の観点から考えた場合について「死者においても名誉は保存、保護すべきだという名誉毀損罪はあるが、生きている人とは違い、嘘の事実を出した場合だけ、名誉毀損に問える。今回の写真は、嘘で作ったものという可能性はあまりなく、私的なもののため、名誉毀損罪で争うのはハードルが高い」と述べた。
ただ、死後ディープフェイクでポルノが作られてしまった場合は、嘘の事実で社会的評価を下げる行為として、名誉毀損で争える余地があるという。
AIやディープフェイク等の新技術が登場する中、「死後の権利」に関する議論や法整備の必要性について、佐藤氏は「原則自体は変わらないと思う。一部法律で死者であっても名誉は守るべきといった、限定的に認められている部分もあるため、その限定的に認められている部分の領域を増やしていくような議論が、社会に合わせて議論が進むと思う」と語った。
死後の権利問題については、遺書や契約により一定の防衛策は講じられるが、何十年も前の写真の場合は現実的ではない点も課題だとし「若い頃のことなんかだと、なかなか自衛するというのも本当に難しいと思う。遺書を思い出したら書いておくというのはありだと思う」とした。
(『ABEMAヒルズ』より)
■Pick Up
・キー局全落ち!“下剋上”西澤由夏アナの「意外すぎる人生」
・現役女子高生の「リアルすぎる日常」をのぞき見