西田氏の推測が的中… トランプ氏からの要求

西田氏の推測が的中… トランプ氏からの要求
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 会談の9日前に西田氏は「安全保障コストの上積み(駐留経費・思いやり予算)」の話が出るのではと推測しており、その読み通り、米軍駐留費の負担を増やす要求などがあった。

 しかし、トランプ大統領の要求に対し、中谷防衛大臣や石破総理は「切り離す」というような見解を示している。これには事情があるのか。西田氏は次のように述べる。

「日本国内の与野党支持層それぞれに駐留経費増に強い反発があるからだと考えられる。それだけにアメリカ側の要求があり、日本側がどう対応するのかというときに『はい、そうですか』とはなかなか表明しにくい。米軍駐留経費、ホストネーションサポートと言うが、すでに世界最高水準の負担だ。70年代末だが、当時の防衛省長官金丸信氏が、なぜ日本は負担しているのかといったときに、思いやりだというほかないことから、思いやり予算だと言われるようになった。したがって、米国の主張を真っ向から受け止めてしまうと、国内の保守的なグループからは、ただでさえ負担しているのだからそんなことでいいのかといった批判が出かねない」

 また、西田氏は自動車についても指摘していた。「アメリカの自動車メーカーは日本に販売店が無く、急に自動車が売れるようになるのはあり得ない、別の交渉の糸口を探すのではないか」と話していたが、会談でトランプ大統領は自動車に強いこだわりを持っていたようだが、どのような意図があるのか。

「歴史的にみたときに、日米の関係、貿易関係で議論になると、必ずと言っていいほどに歴代政権はもっと自動車を売るように主張してきた歴史がある。第2次安倍政権の時には、当時の安倍総理がオバマ大統領と日本で会談した時にも、オバマ大統領からのリクエストでアメリカの自動車をもっと国内で売るように要求されている。アメリカでの新車の販売台数の内、日本車の比率というのは、大体4割~5割ぐらいで推移している。その一方で、日本におけるアメリカ車の販売台数は輸入車の中でもとても少ない。ドイツ車が上位に入ってきていて、アメリカ車の比率は低い。これは非対称だからもっと日本でアメリカ車を買ってほしいという主張だ。それから、アメリカからみると、自動車は象徴的な産業の1つなので、これをしっかり日本でも売ってほしいというのはしばしばなされるアメリカの主張だ」

 では、2回目の交渉のポイントはどこなのか。西田氏は「自動車の販売台数を落とさないことだ」と語る。

「日本車のシェアがアメリカでとても高いということを言ったが、同時に、日本における雇用を多く担っている自動車メーカーは関連の系列の会社など含めて、数百万人の雇用を担っている。シェアはさておき、販売台数が下がると当然工場の操業停止や移転につながりかねない。ただでさえ、すでにいくつかの日系のメーカーの中には、アメリカは重要な市場だから今のままだと売れなくなるということを見越して、工場をアメリカに移転したり、工場の稼働を減らす、希望退職など動き始めている。今後、その傾向が続くと思うが、販売台数が減ると日本に与えるインパクトはとても大きいのでショックの緩和が必要だ」

(『ABEMAヒルズ』より)

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