■ビジネスで求められる体力のパターン

体育会系人材の落とし穴
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 小野松氏は、ビジネスにおける体力は、3つの要素で成り立っていると説明する。「フィジカルの体力と、メンタルの体力。もうひとつが『判断の体力』だ。たくさんの人やお金を動かすと疲れてきて、意思決定できなくなる」。

 ひろゆき氏によると、「1日に重要な決断は40個程度しかできないという説もある」といい、「集中して全ての情報を入れて、決断するとなると、それなりの何かが削られる。体調が悪ければできないため、自分の能力を最大限出せる状況を維持できることが大切だ」と持論を述べる。

 一方で、人事ジャーナリストの溝上憲文氏は、「50歳を過ぎると、みんな働く気力がなくなる。最近は“リスキリング”など学び直しが必要だが、50歳を超えると、復元力や回復力が足りなくなるため、どう企業が背中を押すかが大切だ」と説明する。

 その上で、「体育会系」採用の弱点を語る。「35歳を過ぎて課長までは行けるが、部長は求められる能力が高い。部をまとめる構想力やマネジメント力が問われるため、イケイケドンドンで来て、指示に忠実なタイプだと、部長昇進を部下に抜かれるパターンもある」。

 アスリートになぞらえて、「プロ野球選手は、35歳を過ぎて現役引退して、セカンドキャリアを築く人がいる。力士はちゃんこ屋を開く人もいる。新しい未来に向かって学び、作り出せる人かどうかに似ている」とも表現する。

 AIの進歩によって、「“体力”がない人」をアシストする可能性もある。しかし、ひろゆき氏は「出版社の編集者は、クラウドワーカーに100件発注して、メールで管理できる。昔だったらFAXや対面の打ち合わせで、20人ぐらいしか管理できなかった。クラウドワーカーやAIの活用も、管理量が増えるだけだ。限界まで働くことには変わらず、勤務時間も減らない」とみている。

■AIがやる仕事・やらない仕事
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