“2020年代に最低賃金1500円”は現実的?

石破総理
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 2020年代に最低賃金1500円を目指すという政府の目標。これは現実的なのだろうか。経済アナリストの森永康平氏は「実際にやろうとするとかなり厳しい」と主張する。

「もちろん対応できる企業もいるとは思うが、中小零細企業にこれを当てはめてしまうとかなり厳しいと思う。今、仮に最低賃金を1500円にしたとすると、同時に年収の壁も引き上げておかないと。『時給だけ上げてしまって壁動かしません』となると、例えば極端な話、10月や11月ぐらいから労働調整、働き控えをするため、石破総理も言っていたが、人手不足が問題だと言っておきながら、一方で人手不足を加速させる政策をやることになるため、なかなか厳しいと思う」(経済アナリスト・森永康平氏、以下同)

 では、なぜ石破政権はこの目標を掲げたのか。その背景に考えられることとして森永氏は以下のように述べる。

「もともと言っていたというのはあるが、選挙を前にして物価高対策もまともなものを打てずにかなり評判が悪くなってきている中で、この最低賃金1500円というのは、正直政府側からするとルールメイキングすればいいだけの話で、実際に苦労するのは企業側だ。何も知らない人から見ると、最低賃金1500円と言われたら『石破さん頑張れ』となるかもしれないが、辛い思いするのは企業や労働者で、ある意味何もわかっていない有権者にやっているアピールをしつつ、でも負担は企業と個人に押し付けるという風にしか見えない」

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