■夫の支配で産まざるを得ない妻…「多産DV」とは

かおりさん
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 産婦人科医の種部恭子氏は、これまで30年以上、多産DVの被害女性を支援してきた。多産DVとは、「女性が望まない妊娠・出産を繰り返させて、心身に負担を与え、身も心も拘束する性暴力」を指し、具体的には「性行為を強要」「避妊をしない・させない」「中絶させない」などが当てはまる。なかには、子ども1人でも中絶を繰り返している場合もあるという。

 詳細については、「夫婦間の通常の性的DVと同じだ。性行為に応じなければ、舌打ちや首締めを行うのは性暴力だ。そのなかで『避妊に協力して』と言えずに、妊娠してしまうが、中絶は認めずお金も出さない。生まれたら『お前が産んだのだから勝手に育てろ』となり、ずっと産み続けることになる」と説明する。

 どのような状況だと、多産DVだと判断できるのか。「『跡継ぎが必要だから、長男が生まれるまで産み続けろ』『介護をしてほしいから女の子を産め。男の子だったら中絶しろ』といったケースがあり、あまりに勝手だ。出産後も変わらず『産み続けろ』と言われる。性交に応じないと、毎日舌打ちされる場合もある」。

 そうした状況が続くことで、「『寝られない』など心身の不調で、病院に来る被害者もいる」そうだ。また「避妊に協力してくれないが、産むお金もないからと、中絶や緊急避妊を繰り返す人もいる」と説明する。

■多産DV、発見の難しさ
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