病院で多産DVであると発見するのは、難しいのだろうか。「産婦人科医でも気づく人ばかりではない。私は診察経験から、中絶7〜8回で『つらいことはないか』と聞くが、疑いの目がないと気づかない。病院を転々としている場合もわからなくなる」。

 なぜ男性が多産DVを行うのかについては、「支配欲のために、性的暴力や『子育てをしろ』と外に出る権利を奪う。身体的暴力だけではなく、子育てで家に縛り付けるのも、支配するための道具だ。加害者は『しつけだ』と思っている。被害者は従わないと不機嫌になるのが怖く、言いなりになっていく」と分析する。

 また、いわゆるセックス依存症とは異なるようだ。「性行為のないDVもあるが、ほとんどは性的支配の道具に使われている。避妊しないのは立派な暴力だ。避妊を頼むと不機嫌になるが、それでは妊娠してしまう。そうした背景から、産ませて、家の中に縛り付ける支配につながる」。

■夫に洗脳され次々に妊娠、出産
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