■子育てケアマネとは

榊原智子氏
拡大する

 子育てケアマネとは、妊娠期から出産·育児の長い道に寄り添い、必要な助言と情報を提供する存在だ。家庭ごとにあった支援につなぎ、既存の制度を「使いこなせる」よう支援することで、困りきってから相談するのではなく、困らないように先回りする目的がある。

 「子どもと家族のための政策提言プロジェクト」の榊原智子共同代表は、「妊産婦に1対1で伴走して、相談支援を行える専門家のイメージだ。介護保険のケアマネジャーは、必要となった高齢者全員に無料でつく。フィンランドには妊娠期から助産師や保健師がつくことで、トラブルを未然に防ぎ、子育てを安心して始められるシステムがある。日本にも必要なのではないか」と、その意図を説明する。

 導入に向けた背景として、「核家族化や離婚・再婚、結婚前の妊娠は、他の先進国と同じように増えている。しかし日本では、妊娠・出産に保険適用されず、個人の責任にされている。年間70万人も子どもが生まれない少子化の国だが、毎年12万件ほどの中絶があり、その人に対して誰もカウンセリングしていない」と語る。そして、フィンランドのように、「妊産婦のケアから始まり、産まれたら母と子の家庭について行く」スタイルを提案する。

 具体的な支援策としては、どのようなものを考えているのか。「経済的や身体的、メンタルや夫婦関係のような悩み相談に、早めに乗って、必要な専門支援につなぐ。日本では困っても情報を自分で探す必要があり、その間に諦めてしまい、問題がこじれる。それを未然に防ぐ人をつける必要がある」。

■「全員が使えることがすごく大事」
この記事の写真をみる(4枚)