“自己責任論”と“無敵老人化”への懸念
氷河期世代の中でも、就職に成功した人と失敗した人の格差が広がり、『自己責任論』の論調もしばしば見られると、ダイヤモンド・ライフ編集長の神庭亮介氏は語る。
「成功して生き残った氷河期サバイバーの中には、うまくいかなかった人たちに対して冷淡な人もいる。同じ土俵で、自分は努力してうまくやった。それができてないあなたたちは、努力が足りなかったんじゃないのかと。一方で、虐げられた側、何十社も落とされた側も『自己責任論』を内面化してしまっている。不景気という、個人の力ではどうにもならない要因で翻弄されたのに、仕方がなかった、自分が悪いんだとあきらめている人も少なくない」
与野党で進む“氷河期世代推し”、政府も就職氷河期世代の就労支援を検討しているが、神庭氏は以下のように懸念を示した。
「例えば、就労支援。どこかの自治体が氷河期世代の方を採用する時に、今まで面接に出ては否定され、就職できなかった人たちがすんなり手を上げられるのか。新卒時代に何十社も落とされてメンタルはズタズタ、自己肯定感をえぐられた人たちには、なかなかしんどい。やらないよりはやった方がいいが、50代過ぎてからのリスキリング(新たなスキルを身につける)に、どこまで効果があるのかも疑問だ」
「5年後、10年後には年金を受け取る世代になるが、その対策も待ったなしだ。このまま行くと無年金・低年金になる氷河期世代も多いだろう。NISAやiDeCoを積み立てている時間もないし、余裕もない。いい条件の就職口もない。基礎年金部分を保険料ではなく税負担にして最低保障年金化することも含めて、議論していく必要があるのでは」
また、見捨てられ続けてきた氷河期世代を蔑ろにしてしまうことで発生する問題について、神庭氏は以下のように危機感を示した。
「国に見捨てられ続けてきた氷河期世代が困窮して、老後にもう1度見捨てられることなったら深い絶望だ。社会への恨みが、何らかの形で爆発してもおかしくはない。そうなれば、社会の安定性も損なわれてしまう。決して氷河期世代だけの問題ではなく、社会全体として助けていくことを考えていかなければならない」
(『ABEMAヒルズ』より)
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