永田町×消費税
【映像】各党における減税のための財源確保案は?
この記事の写真をみる(3枚)

 参院選で、大きな論点になると思われる消費税減税。各党から減税案が出される中、経済アナリストの森永康平氏は、以下のように私見を述べた。

【映像】各党における減税のための財源確保案は?

「各党で減税と言い出しているのがポイント。個人としては、減税した方がいいという前提で話すが、自民党と立憲民主に関しては、減税と言わない方が良かったのではないかと思っている。減税しない方がいいと言っている有権者も結構な数いることを考えた時に、各党で減税と言い出してしまうと、選択肢がなくなってしまう。立憲民主党に関しては、あれだけ減税はポピュリズムだと言っていたので、そこは筋を通してやらないと言った方が良かったと思う。与党に関しては、今、国会会期中なのだから、減税する気があるのであれば、今やりなさいよと。会期中には言わないが、選挙前に公約で出すというのは、明らかに選挙対策で、やる気がないと思われてしまっても仕方がない」

 では実際、消費税減税を実現するための財源はどうなるのか。立憲民主党は「赤字国債に頼らず財源を確保」、日本維新の会は「定額減税終了などによる税収増加分で財源を確保」、国民民主党は「赤字国債を堂々と発行し財源とする」と、各党で様々な意向を示している。各党の財源確保案について森永氏は以下のように述べた。

「(赤字国債に頼らず財源を確保するという話は)多くの日本の専門家も言っている話に近いなと思うが、私はこの発想がよくわからない。結局減税をするとなると、その分の税収が下がるので、埋め合わせるための財源を持ってこないといけないっていう人は、野田さんに限らず、他の専門家もよく言う。分かりやすく言うと『ダイエットしたいから朝ごはんを食べないが、その代わり、お腹が減っちゃうから夕飯は2倍食べるようにする』と言っているようなもの」

「ただ、維新の会はかなり腹落ちしやすいと思う。5年連続で税収が過去最高記録していて、政府予算を見ると6年連続で税収は過去最高を記録しそうだと。ただ一方で、国民は物価高で疲弊しているという事実があるため、取り過ぎた分をお返しするという形での減税になるので腹落ちしやすいのかなと。ただ、グローバルで見た時に、どちらかというと玉木さんがおっしゃっているような赤字国債を出せばいいという話で終わりだとは思う。ただ、日本の場合、『国』の財政運営を『家計』や『企業』の財政運営と全く同じで考えている人たちが多いため、そういう人たちからすると、玉木さんの発言は、それこそポピュリズム的な、そんな国債なんか出せるわけがないだろうみたいな感じで拒否反応を生みやすいのかなとは思う」

 立憲民主党の財源確保案は、家計の財政運営に置き換えた場合、プラマイゼロの考え方だが、国の財政運営と家計・企業の財政運営の違いについて、森永氏は以下のように説明した。

「経済が成長していく過程においては、使っていくお金の量は増えていく。赤ちゃんと大人では、筋肉量が違うことと同じ。それをプラスマイナスゼロでないと破綻するという企業的な発想でやってしまうと結局は無理になる。消費減税するのであれば、どこかで増税して財源をという話になってしまう。国としての財政運営は個人の家計とは違うが、この発想はすごく難しい。なぜなら、我々は生まれてから大人になるまで、個人としての家計と社会人としての企業の財政の感覚しか触れられないため、普通に生きていたら国家目線は持てない。そうすると、いわゆる財政の健全化が大事と言っている人の主張の方が腹落ちして、赤字国債でいいという話をすると変な意見として扱われてしまう」

食料品だけ減税はアリ?「税率はシンプルな方がいい」
この記事の写真をみる(3枚)