食料品だけ減税はアリ?「税率はシンプルな方がいい」

食料品の税率国別にみると
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 関東学院大学経済学部の島澤諭教授の作成した消費税や社会保険料が所得の何割を占めるかを示したグラフでは、年収200万円~250万円の年収が最も割合が高い結果となった。

 また、ANNの世論調査では、現金給付を必要だと思わない人の割合が59%となり、消費税減税に賛成している人が現金給付よりも多い結果になった。森永氏もこの結果に「感覚で言っているとは思うが、経済学的な観点から見ても(この結果は)正しい」と同意した。

 食料品にかかる税率の国別比較では、日本が8%と最も高く、フランスで6%、イタリアで4%、その他の国では0%となっている。この結果を受け、森永氏は以下のように述べた。

「食料品を減税しましょうと掲げている政党もいくつか出てきている。非常にロジカルで、世界的に見ても合理的だと思う。ただ私は、(食料品に限らず)一律(税率を)下げたほうがいい」

 森永氏は、税率を一律下げたほうがいい理由について、以下のように解説した。

「2つ理由がある。1つは、税の原則として税率はシンプルな方がいいということ。例えば食料品は5%、新聞は8%、それ以外は10%となると、よくわからなくなる。なので、全部5%とした方がわかりやすい。もう1つは、食料品などは、仕入れをして売るが、その仕入れにかかっている税金は10%かかる。食料品を売るとなると、そこの税率は下がるという話になると、仕入れ額控除などの問題も出てくるのではないか。逆に税率が高いとインボイス制度の正当性が高まる。逆に税率が一律であれば関係ない。減税するのであれば、一律5%にしてしまった方が様々な観点から見て負担が減る」

 島澤氏は「現役世代の低所得世帯から取られた消費税が、豊かな高齢者の年金に使われているという現実がある」と述べたが、消費税を減税する場合、どの社会保障を削減するべきなのか。森永氏は以下のように分析する。

「私は、(減税と社会保障の見直しは)分けて考えたらいいと思っている。ただ一方で、社会保障の問題1つとっても、だんだん社会情勢と制度がずれていっているので、今の社会情勢に合わせた形に直すというのは正しい議論だと思う。それが同時じゃないと減税できないと言うから、結局今に至るまで一度も減税できていない」

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