アマ13冠の実績を引っ提げ、世界王者への階段を一歩ずつ上がっている堤。ある日、練習を終えた堤の傍らには、15試合連続KO勝利を収め、連続KO勝利数の日本記録に並ぶと共にデビュー戦からの連続KO勝利数で日本新記録を樹立した経歴を持つ比嘉の姿が。
「先輩、お願いします」と堤に向かって頭を下げる比嘉。「比嘉の方が先輩なのでは?」の問いに対しては「違います」と即答。さらに「ボクシングは年収が上か下かで先輩後輩が決まるんで」と軽いジャブ。これには堤も苦笑いだ。
その後、堤が2カ月ほど前から一人暮らしを始めたというジム近くのマンションへ。部屋に入るなり「失礼しまーす」と比嘉の声もテンションも高めだ。
「いいね、男の一人暮らし」と感想もそこそこに…「契約家賃いくらでございましょう?」と比嘉はいきなりお金の話をぶっこむ。予想外の一撃に虚を突かれた堤はたじたじ。「10…」と言った後で、言い直した家賃の金額に「高っ!!」ワンルームに比嘉の声が響いた。
その後、比嘉は室内を物色。サプリメントやマッサージガンを発見。マッサージガンについて堤は「ボクサーは足裏が疲れるので」と足裏にそれを当てた。さらにストレッチについて堤が「スポンサー契約をしていただいて…」とあるストレッチ店の名を明かすと「スポンサー契約? スポンサー契約?」と比嘉は表情を変え、ここまでで一番の食いつきを見せた。堤のボディメンテナンスやトレーニングのルーティンに関するこだわりを聞いた比嘉は「まさにボクシングだけの生活。これはチャンピンになりますよ」と感服した様子を浮かべた。
「調子はどうですか?」
数日後に迫った試合に向け、堤の調子について比嘉が質問を向ける。
「いい感じに仕上がってますよ。イメージもいい感じなので、早く追い込み練習を終わりたい」
この一言に、元世界王者の比嘉が「わかるわかる」と大いに共感。続けて「早く疲労を抜く時期に入りたい」との言葉にもひどく共感した比嘉だったが…ここで、元世界王者とは思えぬ衝撃発言が飛び出す。
「試合が終わって口座に(ファイトマネーが)振り込まれるときが一番楽しいもんな」
散々、ストイックなトークをかわしてきたにもかかわらず、まさかの「お金」に堤は失笑。
「自分は試合終わってなんでも食べていいときですよ(一番楽しいのは)」
頑張って話をストイック路線に戻そうとした堤だったが、そんな思いは比嘉には届かず「そうなの? まだ口座に何も振り込まれてないのに?」とマイペースな比嘉。
「口座なんか見ないですもん」と返した堤に「えー、本当に? 口座だけしか見てないよ俺は」比嘉は現実路線を貫いた。
しかし、そこは強打を誇った元世界王者。堤に対して「自分がスパーリングをやったのはデビュー前の時。その時からパンチは当たりづらかった。ジャブも見えない。普通のジャブと違ってノーモーションできたりする。総合的にスピード、パワー、距離感も一定のラインを超えている。天才だと思う」と11日の試合に向けて太鼓判を押した。




