歴史資料の活用 山川出版社に聞いてみた
【映像】QRコードで画像や動画が見られる?最新歴史資料集とは
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 「国語便覧」が抽選販売になるほど話題となっているが、このように学校で使用される副教材の「資料集」は一般向けに販売されているものもあり、隠れた人気商品となっているという。

【映像】QRコードで画像や動画が見られる?最新歴史資料集とは

 「よく店頭でお問い合わせいただくのは“日本史関連の図説”のようなもの。日本史関係だと山川出版社の商品が一番多いかもしれない」と西沢書店の古川博支店長は話す。

 歴史教科書で高いシェアを誇る山川出版社。その資料集である「図録」は、大人にとっても活用できるポイントが満載だという。ABEMAヒルズでは、山川出版社の担当者に活用法を聞いてみた。

「日本史・世界史ともに、図録は本来、高校生が学習で使うことを想定した教材。しかし、ぜひ大人の方にも手に取っていただきたいと思っている。例えば日々のニュースを見ているときや、歴史に関心を持ったとき、大河ドラマ、映画、ゲームやアニメなどを楽しんでいるときに、図録を開いて確認していただきたい」(山川出版社 日本史図録 編集担当 池田航氏)

「最近の時事では、パレスチナ問題なども図録の中で特集ページを組んで取り上げている。もともとは学校の授業などで時事問題を取り上げやすいように作っているものであるが、一般の方にも、現在の状況に至った経緯を歴史的に深掘りしてもらえると思う」(山川出版社 世界史図録 編集担当 坂田汐里氏)

 新型コロナウイルスの発生を受け、問題を深く洞察するために必要となったのが過去の感染症の歴史である。資料集でも特集が組まれ、地図や図表でわかりやすく伝えられている。

 そして、ニュースや時事問題だけではなく、より実用的な使い方もあるという。

「行く予定の美術館や、現地のページを開いて見てみて、この国にこんな美術品があるのなら、この博物館に行ってみようかなど、ガイドブック代わりに使ってみたり、自分が行く土地の歴史などを調べていくことで、より海外旅行も楽しめると思う。最近では大阪・関西万博が開かれているので、訪れるパビリオンを決める時などに世界史図録をめくって、面白そうな国を見つける、というような使い方もできるのではないか」(山川出版社 世界史図録 編集担当 坂田汐里氏)

 様々な手段で素材が集められ、作られる資料集。中には社員が旅行先で撮影してきた写真が採用されることもあるという。出来上がるまでには、地道な作業の積み重ねがある。

「写真や資料の数が膨大な量に載っている。それに加えて文量が多く、様々な執筆の先生方に関わっていただいている。内容の管理や調整には細心の注意を払っているので、大変なポイントだ」(山川出版社 日本史図録 編集担当 池田航氏)

 何重ものチェックを受け、情報が変われば改訂の必要もあるなど、コストがかかる資料集の制作だが、価格は990円。赤字にならないのだろうか。

「そこは企業努力でなんとか、というところ。やはり他の一般書に比べると、フルカラーでページ数もかなり多いので、お得な内容になっていると思う。一般の方々も歴史に興味を持っていただける一つの入り口になっていると思うので、ぜひ皆さんに手に取っていただきたいと思っている」(山川出版社 販売促進部 安田厚氏)

最新の資料集は、QRコードで画像や映像も見ることができる?
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