食卓のテーブルを見つめ、いつも陵子さんが座っていた席を指さす久子さん。「高校時代の17時〜18時に帰ってくるのがすごく印象に残っていたので、その時間になると『もう帰ってくるのではないか』。その事が、また悲しさを誘ってしまう」。
また家族写真を見ながら、「夫の誕生日にケーキを買って、娘がプレゼントして。みんなでセルフタイマーで撮った」と振り返りつつ、これが家族そろった最後の写真になったと説明する。
陵子さんは両親を尊敬していた。「夫婦ともに公務員だったため、お友達から聞くと『都庁に入りたい』と大きな夢を持っていたようだ。都庁がテレビに出ると『もしかすれば、ここで今ごろ勤めていたかもしれないな』と思って、涙することもある」。
「電車に乗ったとき、若くきれいに化粧した女性が乗ってきた。『こういう風に娘もお仕事に行っているのかな』と思うと、若い女性を見ただけで胸がいっぱいで、その人たちを見て泣いたりしたことがあって。変なおばさんって思ったかなと思いながら…」
元刑事が事件当時を振り返る
