序盤こそ、オーソドックスな技の応酬やスリーパー合戦など、ベテラン同士の“名勝負数え歌”にふさわしい無骨で見ごたえのある攻防が続く。シーナは観衆の要望に渋々応じてファイブナックルシャッフル、ランディもエレベイテッドDDT。シーナの得意技アティチュード・アジャストメント(AA)を空中でランディがRKOで狙撃。それをさらにシーナがAAで反撃と、早々にフィニッシャーを惜しみなく解禁していく。

 ここまでは“ベストバウト級”の好勝負だったが、中盤にかけて試合は被害者続出の泥沼に。2人の因縁の“流れ弾”を最初に食らったのは、メインレフェリーのチャド・パットンだった。

 ランディのRKO未遂から交錯し、チャドがマットに崩れ落ちる。その後ランディが切り札RKOを放ち、チャドは根性で立ち上がってカウントする矜持を見せるが、受難はそれだけで終わらない。場外乱闘に巻き込まれ、今度はリング下のスチールステップに頭から激突。1度ならず2度目の失神にファンからは「レフェリーかわいそう」「レフェリーに厳しい試合だ」「ジョー樋口状態」「サブレフェリー早く!」と同情の声が相次いだ。

 パットン不在でも激闘は続行。ランディがテーブルを投入し、掟破りのAAでテーブル葬。リング中央で完璧なRKOを決めると、段取りの悪いサブレフェリー、エディ・オレンゴが必死にリングに駆けつけるもカウントは2.5。ランディが納得いかずレフェリーに抗議している最中、背後からシーナがWWE王座ベルトでオートンを狙うが、オートンが回避しベルトはオレンゴの額に直撃。2人目のレフェリーも失神・退場という超異例事態に。「サブレフェリーまで…」「レフェリー災難がすぎる」「レフェリーの厄日」とファンも呆れるばかり。

 “カウントを数える人不在”の無法地帯に、ランディの連続RKOも無効。スマックダウンGMニック・オールディスやスタッフが事態を収束すべく介入するも、勝利目前で怒りを抑えきれないランディが関係者に八つ当たりRKOを5連発。さらには“空気の読めない闖入男”R-トゥルースにまでRKOを見舞い、やり切ったところで、ご都合主義すぎるタイミングでシーナが復活。ローブローとベルト殴打の合わせ技を炸裂させる。10分以上失神していたパットンが這うようにリングに戻る“奇跡的復活”で、汗と疲労で濡れた顔で3カウントを数えた。

 引退イヤーにまさかの“ヒールターン”でやりたい放題のシーナが王座を防衛。あまりにも予定調和な展開に、ファンからは「もはや集団コントだ…」「酷いものを見せられた」「なんだこれwww」と冷ややかな声が飛ぶ一方で、「面白かった」「歴史を感じた」「胸熱展開」「最高のエンタメプロレスだ」と賛否両論。カオスな約30分間を終え、ABEMAのWWE解説・もりおは全てを悟ったように「ああ…スーパーバッドエンディングですね…」と本音を漏らしていた。(ABEMA/WWE『BACKLASH』) 

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