■柏木由紀「あいさつは最低3秒は必要」
NO YOUTH NO JAPAN代表理事の能條桃子氏は、「ビジネスの中で競争させられている部分もある。9000円のお見送り会に500人参加して、10分間で450万円を生み出した。会場費も人件費もあると思うが、かなりの金額だ。気持ちを搾取するのはどうかと思うが、ファンの倫理観ばかりが話題になる」と話す。
文筆家で情報キュレーターの佐々木俊尚氏は「『搾取だ』と言うこともできるが、お金を積むことは悪いことではない。運営側の問題は、お金を払っている側を『自分はファンコミュニティーに参加している』という気持ちにできるかだ。アーティストも運営側もファンも入ったコミュニティーで、みんなで支えている感覚が生み出せないと文句が出るのではないか」。
芸人のケンドーコバヤシは「演者側は共通して『ファンは演者の鏡』と言われる。ファンにもその言葉が伝われば、ずいぶんと変わる可能性がある。我々がルール違反すれば、ファンもそういう人だと思われる」と述べた。
名古屋短期大学の助教で、男性アイドル研究家の小埜功貴氏は、「“遠さの価値”追求を」と考える。現代のアイドルは以前と比べると距離が近づいたが、本来は「手が届かない」存在がスターだったとして、「遠いなりの楽しみ方」の価値も高めるべきだと説いた。
柏木はアイドル側の葛藤として、「『会いに行ける』を始めたら、もうやめられない。やめた時点でマイナスになる。接触なしでも、とんでもなく売れるアイドルが出てくれば、変わってくると思う」と明かす。
その上で、経験則から「直接あいさつするには、最低3秒は必要だ」と話す。「コンサートは遠くから見るだけで幸せだが、お見送り会は目と目が直接合って、好きな人に自分のことを認識してもらうのが目標だ。1秒では目が合わず、『意味なかった』と思ってしまう」。
(『ABEMA Prime』より)
この記事の画像一覧
