2024年1月、一審の東京地裁判決では、発給そのものの拒否は違法とする判決を下した。判決では、旅券法の制限は「二国間の信頼関係」を主な目的にしており、トルコとその周辺国以外まで渡航を禁じるのは、裁量権の逸脱・乱用とする一方で、憲法違反にはあたらないとした。
一審判決後、安田さんは「外務省の好きなようにやっている。いつでもそういう扱いになる可能性が皆さんにもある」とコメント。判決を不服として控訴し、国も発券拒否は妥当として控訴した。
2025年1月の東京高裁判決では、一審と同様に、旅券発給拒否を「違法」としたが、制限は「二国間」だけでなく「全世界との信頼関係」に広げられた。トルコと、その周辺国・関係国だけでなく、それ以外のすべての国も制限対象となり、判断材料として安田さんの地位や経歴、人柄、これまでの渡航目的、取材内容なども考慮するという文言が追加された。
これに安田さんはXで、「この控訴審判決は、外務省に無限の裁量を認めて発給拒否処分を容易にできるお墨付きを与えたもので、一審判決から大きく後退している」とコメント。今回の判決も、安田さんと国側双方が不服だとして上告し、最高裁の判断を求めている。
一審・二審ともメディアは「勝訴」と報じたが、安田さん本人は「大きな後退」だと認識している。「二審では『トルコと日本の信頼関係』から『二国間、ひいては国際社会』と言い始めて、全部の国に行って良いのかダメなのかという話になった。無限に広がってしまった」。
「人柄」まで対象となることには、「私はこの部分で勝ったが、もう1人、同じ日の判決だった人は負けた。『これは人柄の差だった』といった話になる」と語る。
外務省、国会の怠慢か?
