国際政治学者の舛添要一氏は「ちょっと拡大解釈しすぎている。外務省の裁量権を許しすぎている」と評する。「こういうことをやると、自由な取材も研究もできない。いま中国研究者が『スパイ(容疑)で捕まるかもしれない』と中国に行かなくなっている。それと同じように日本国をするのか、極めて問題だ」。また外務大臣だけの裁量ではなく、「国権の最高機関である国会がきちんと議論して、旅券法を変える必要がある。それくらいしないと、自由に動けなくなる」と警鐘を鳴らした。

 安田氏によると、「1951年にできた当初の旅券法では、1つの国に1回行くと終わるパスポートだった。(当時は)『この国に入れないとわかっていたら、パスポートを出してもしょうがない』という話だったが、どこでも行けるパスポートになったら全部ダメみたいな話になった」のだという。

「以前は入国禁止の国があっても、そうでない国に行くときは発給しなければならなかった。それが全部なしにできるようになった。国会がその話を全然やってこなかったからで、国は『国会が認めたからだ』と言っているが、はっきり言って国会の怠慢だ」

 また、舛添氏は他国を例に挙げて「ウクライナ戦争が起こって、批判したロシア研究者は全部ロシアに行けなくなっている。有識者を含めて。そして、アメリカがいまそれをやろうとしていて、(アメリカに)留学したいと言ってビザを請求すると『スマホとパソコンを見せろ』『トランプ批判を何年何月にやったじゃないか。はい、ダメ』と。だからアメリカも酷い国になりつつある。今留学していても、調べて、『過去こんなこと言った、もう帰りなさい』と。だから、アメリカの国力はどんどん落ちていく」と分析。

 これに安田氏は「アメリカや中国、ロシアが、『自分の国には入っちゃダメですよ』というだけの話を日本側がもっとすごく広げて、全部ダメと。プーチンより酷いことになっちゃっている。向こうが禁止になったら、向こうが勝手にすればいいだけの話だ」と私見を述べた。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

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