現在の価格は、コメ農家から見て、高いのか安いのか。「正直なところ、やっとコメ上がるんだと思った。確かに農協や米屋が生産者から買う金額も上がった。ただ正直、理想の水準までは、まだ達していない」。
「茶碗1杯49円」でも理想の水準に届かない理由のひとつが生産コストだ。ビニールハウス内は30度以上を維持し、光熱費が大きなコストになる。種から苗に育てる手順を「専用の箱に土を入れる。本来自分たちが食べるコメは、実は種だ」と説明する。「その種を10日間ぐらい水に浸してふやかして、土の上にまいてあげて30度ぐらいの温度、湿度100%ぐらいのところで3日間置いておくと芽が出る。種まきからここまで約1カ月間」。
農機具も安価ではなく、「稲を刈るコンバイン。このタイプは一番小さい機械で、もっとデカくなればウン千万円」かかる。加えて、「化学肥料の原料の鉱石は、ロシアやウクライナ産が多い。戦争が始まったときに、化学肥料が倍くらいになった」とのこと。これらの生産コストを考えると、いま高騰していると言われる価格でも、まかなうのがギリギリだそうだ。
コメ農家の苦労
