■「女やから舐められたらあかんと鎧を着てきた」

辻元清美氏が感じた女性政治家の壁
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 現在、日本の国会議員は衆議院・参議院合わせて705人いる。このうち女性議員は134人で全体の19%だ。参議院の方が割合は大きく240人中61人だが、昨年選挙が行われた衆議院でも465人中73人で、これは戦後最も多く女性議員が当選した例となった。辻元氏は「73人の中、30人が立憲民主党。実は当選率では女性の方が高い。夏には参議院選挙があるけれど、各党も努力して予定候補者の41%が女性になった」と評価する。

 ただ過去に比べれば増えた女性議員も、男女1対1になるかといえば、まだまだ開きは大きい。国会議員の女性割合19%にしても世界で見れば140位、先進国ではワーストだ。要因として辻元氏は「制度と文化だ。選挙制度も300万円や600万円といった供託金が必要で、やはり男性の方がたくさんお金を持っている。また社会的な固定観念としても『政治家は男性』というものはある。働き方も男性モデルで、世襲という壁もあり新規参入が非常に難しい」と語る。

 男性と同じように政治活動をしていても「女性だから」とハンディを負うこともある。「朝の駅でチラシを配っていたら、罵声を浴びせかけてくる人がほぼ必ず現れる。これが男性議員だったら、そんなことを言われているかと思う。『女やから舐められたらあかん』とどうしても鎧を着てしまう」と振り返る。それでも辻元氏から見れば、憧れた土井氏はさらに強かった。「土井たか子さんはもっとすごくて、絶対に隙を見せなかった。私もそれを見てきたが、あれを一生するのは荷が重いのでもうちょっと自由にやらせてもらっている」。

 “男性に負けない女性”というイメージも根強い中で、最近では現役の女性政治家たちの生き方にも変化が出ていると辻元氏は語る。「子育てもしながら土日に選挙運動するという女性が、保守的な地盤だった青森で自民党の有力議員を倒した。子どもを保育所に連れていき、お迎えに行くまでしか活動しないと宣言した人が岡山の市議会議員でトップ当選もしている。彼女たちは次のロールモデルだ。私たちは土井たか子さんを見て『舐められたらあかん』という感じでやってきたが、新しい女性議員のスタイルを自ら実践することで選挙を勝ち抜いて風土を変えていく。私はうどん屋の娘で家も貧乏だったし世襲でもない。それでもやれているから誰にでもできる。私のモデルはちょっと“しんどい型モデル”だったが、次の世代にはもっとリラックスして自然体で行くモデルをサポートしたい」。

■先進国ではワースト…今後さらに女性議員を増やす方法は?
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