MITやコロンビア大は?名門大はハーバード大支援に回るのか
ハーバード大の立場を受け、中室氏は「周辺の大学がどうするかというのも大事」だと述べる。
「例えば、ハーバードの隣にはMITという有名な名門大学がある。ボストンだけではなくて東海岸にもコロンビアやいくつかの有名な大きな大学があるので、おそらく、その辺の大学もハーバードを支援する形でトランプ政権と対抗するのではないかと思う」
では、トランプ政権が進めるアカデミアへの締め付けをどう見るのか。中室氏は次のような見解を示す。
「アカデミアに対するトランプ政権のありようは、アメリカに良い影響をもたらさない。例えば、アメリカでノーベル賞を取った人の4割は移民。外国から来た移民の人たち、留学生がその新しい技術の開発や発明に貢献をして国を豊かにしてきた。そういう人たちを締め付けてアメリカに何かいい影響があるのかというと、ない。頭脳流出が進んで、研究者や留学生も他の国に行くのは当然だ」
「私もアメリカの大学に留学していたが、『同じことが起こったらどうしますか?』と言われたら、当然ヨーロッパの同じレベルの大学に行く。アジアにも最近、シンガポール国立大や香港科大など、非常に良い大学がたくさんある。アカデミアは基本的に動くので、そこの国だけでしかできないわけではなく、言語にも長けた人が多いのでどんどん動いていくと思う」
逆に日本の研究力高めるチャンス?「日本の大学の動きは遅すぎる」
その上で一連のトランプ政権によるアカデミアへの“攻撃”について日本の動きにクギを刺した。
「日本の大学の動きの遅さっていうものは私も一人のアカデミアとして忸怩たるものがある。ヨーロッパの大学は直ちに優れたアメリカ人の研究者やアメリカの大学に在籍している研究者や留学生を引き抜きに行く。日本は大学の給与の体系だったり、採用の体系が極めて硬直的で優れた研究者を獲得してくることができていない。海外の研究者を獲得しようと思ったら円安を加味して給与をオファーしなければいけない」
そのうえでこう締めくくった。
「きちんと国際的な市場の中で優れた研究者を獲得して、研究競争力をあげるということで、トランプ政権のありように対して日本の大学としてリアクションを取るということをしなければいけない」
(『ABEMAヒルズ』より)

