「政府の介入はそこそこに」カギは“正常化のタイミング”
「備蓄米は本来、価格調整する役割を求められてなく、災害時などで、人々の食料を保障するために行われているもの。だから、価格調整するために在庫を一掃すると、災害が起こったときにどうするのか。どこかのタイミングで備蓄米本来の役割を回復させないといけない。また、この約10年間、農政は政府による需給調整ではなく、市場で需給調整する方向に舵を切ってきた。そういう方向にもかかわらず、今回、政府が介入して価格を下げようとしている。どこかでちゃんと正常化させるなら、タイミングを見誤らないようにしないといけない」
そのうえで、こういった“生産者を守る”政策については長期的な目線でみるとその産業が弱体化すると解説した。
「今は本当に価格が高騰しているので、政府が介入するのは仕方ない。ただしゆくゆくは市場に任せないといけない。日本政府は本当にこの点が下手。要するに生産者を守りたいが裏の目的は選挙で応援してくれている団体や組織を大事にしたいという政治家の先生たちのも枠がある。その結果何がおきたかというと生産者の競争力が保たれ数が増えたかというとそうではない。農業に従事する人はこの20年間で50%も減った。生産者を守った事によって生産者が弱体化する状況を生み出してきた。こういう中半端な計画経済は農業だけでなく、日本酒なんかもそう。規制をやっていないクラフトビールやジンやウイスキーは若い人がどんどん参入し、この10年で売り上げ2倍になっている」
「政府の介入というのはほどほどにして、ちゃんと市場に任せ、若い人の参入を増やし、新しいイノベーションを起こさなければならない。これは日本政府が本当に下手くそなところ」と述べた。
また、今回の小泉氏の農水大臣起用については様々な意見があるが、『ABEMAヒルズ』のコメンテーターで政治学者の佐藤信氏は、メリットについて「メディアで取り上げられやすい人が出てくることで、国民から政府の対策に一定程度の身近さを感じることもあるかもしれない」、デメリットについて「選挙対策という意味では、農水大臣になると全国に応援に行ったりすることが制限される可能性がある」と挙げている。
この意見に中室氏は次のように述べた。
「進次郎氏の説明は本当にわかりやすい。1つ重要な点として、“利用者の目線で”と強調している。生産者余剰を高めようとする政府や政治家と違って、『消費者の利益をきちんと守りたい』というのは、多くの人に刺さるメッセージだと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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