■難関大学への受験を決意
ユウタさんは「無力な自分が苦しくなった」と、高校をやめて、就職することも考えたが、貧困の連鎖を断ち切るべく、難関大学への受験を決意した。「家に帰ったら、両親の介護や家事で自由がない。その状況を打開するために、唯一自分が頑張れるのは勉強すること。どうにかして家族を養いたいというモチベーションがあった」。
その道のりは並大抵ではなく、「大前提として塾や予備校に通えない。参考書を買えばある程度補えるが、それが合計して2万円、3万円となるので、お金が払えなくなってしまう。そこで大きな格差を感じた」と明かす。
また、「インターネットには『生活保護世帯だと大学に通えない』という誤解を招きやすい情報も多かった。実際には、ちょっと特殊な制度を使わないと大学に行けないっていう意味だった。そういう制度面での不自由さがあった」。
ユウタさんは、必死の思いで勉強し、国立大学に現役合格。通うためには、生活保護の世帯認定から外れて生計を分ける「世帯分離」をしないといけなかった。「それをすると3月までは受給できていた金額がいきなりなくなってしまう。今までは何も貯蓄できてなかった状況から『全てアルバイトで、自己負担で大学行ってください』と言われてしまう苦しさがあった」。
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