■“塀のない刑務所”ノルウェーでは成功例

懲らしめから更正へ
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 日本財団は2025年1月、「塀のない刑務所」の整備を求める提言書を鈴木馨祐法務大臣に提出した。日本財団の笹川陽平会長は、「再犯をしないように、新しい仕事に就くきっかけを作るためには開放型の刑務所が有効」としている。これに向けて、2024年6月~9月には、「開放型刑務所」整備に向けた研究会を実施していた。

 「塀のない刑務所」は、(1)塀のある刑務所で再犯を防ぐための処遇を受ける、(2)受刑者の中で社会復帰の意欲があり刑務官が問題ないとした者を選抜、(3)一般社会の中に作られた住居スペースで暮らし受け入れ企業に通勤し社会復帰の準備をする、といった流れがイメージされている。

 ノルウェーでは、56カ所の刑務所のうち32カ所が「低セキュリティ(開放型)」刑務所だ。以前の厳しい処遇の刑務所に比べ、再犯率が3分の1に低下(約70%⇒約20%)した。例えば、島にあるバストイ刑務所では、「住居スペースに鍵はかからず、包丁使って料理も」「受刑者が運転する連絡船で、島外に通勤」「休暇で自宅に戻る事も可能」といった生活をしている。

 日本財団「塀のない刑務所」整備の研究会委員でもある、琉球大学の矢野恵美教授は「北欧でも最初は、塀のある厳しい刑務所に入る。しかし、もし反省していて、大丈夫そうな受刑者であれば、出所前の一定期間は“開放刑務所”に入り、そこから働きに行く。再犯率も下がり、国の誇りになっている」と説明する。

■元刑務官「かれこれ60年間、懲らしめの処遇をしてきた」
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