島から船で約10分、そのポツンと一軒家は、瀬戸内海を見渡すことのできる豪邸だった。突然の訪問を笑顔で迎えてくれたのは、76歳夫&73歳妻の夫婦。ノルウェーの“海運王”ラーセンの別荘だった場所を造船会社が保養所にし、その後20年間ほど空き家になっていたところを12年前に購入、2年前に移住したという。
緩やかな斜面を切り開いた庭には、「フジバカマ」が咲く。「アサギマダラ」という“渡り蝶”が好む花で、「白山(岐阜県)とか、遠くだと長野とか。それが九州、沖縄あたり、遠くは香港まで行くのもいるみたい」と妻。ボランティアの協力を得て1年ほどかけて完成した庭だということで、動画を見せてもらうと庭で舞うアサギマダラに囲まれる夫の姿も。
建物の中は、暖炉やテーブル、キッチンなど内装はほぼ当時のまま。また、浜辺にある「移動式桟橋」は、ホンダに勤めていた夫が手作りした。かつてバイク工場の製造装置の設計や、鈴鹿サーキットに併設されている遊園地の乗り物の設計などをしていたそうだ。
結婚50年目を迎えた夫婦。今後については、「庭作りをしているうちに、他の蝶も来るようになった。蝶がたくさん来る庭、来た人がホッとするような“バタフライガーデン”を作りたい」(妻)、「島へ来るのにボートで25〜30分かかるんだけど、もっと早く来たい。昔から飛行機が大好きで、水面スレスレを飛ぶ水面飛行機の模型実験が終わった。この10倍の大きさのものに手を付けたらいい段階にきているので、最後の趣味・道楽として仕上げたい。(できたら)また取材に来てください(笑)」(夫)と語る姿が印象的だった。
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