慶応義塾大学 伊藤由希子教授
【映像】「医療費1兆円削減」病床機能の見直しで
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 自民・公明・日本維新の会の3党は5月29日、社会保険料の負担軽減に向けて、病院などであまり使われていない余剰病床を削減することで大筋合意した。

【映像】「医療費1兆円削減」病床機能の見直しで

 維新は、全国で約11万床減らすことで、年間1兆円程度の医療費を削減できると試算している。

 日本医師会の松本吉郎会長は「病床の削減は方法論を間違えると、全国津々浦々の地域住民そして患者、そのご家族、そして医療現場で懸命に命や健康を守っている医療従事者、さらには医療に関わる業種の方々に、大変な不安や混乱を与えかねない」と懸念を示した。

 病床数の見直しはこれまでも進められてきた。2015年に示された地域医療構想では、2025年の医療需要を見据え、地域ごとに必要な病床数や医療体制の見直しが求められた。

 高度経済成長期に大きく増えた病床だが、人口減少が進む今、使われていない病床が多く残されているのが実情だ。

 病床削減のポイントについて、医療経済学に詳しい慶応義塾大学の伊藤由希子教授は「単に量を減らすだけではなく、機能転換や、統廃合により地域医療の機能強化と質の向上を図れるかが非常に重要」としている。

「病床の数より人員の余力が大事」伊藤由希子教授が解説
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