■関根氏の研究について

関根康人氏
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 訪ねたのは、その分野で世界トップレベルと名高い「地球生命研究所」。その所長を務める関根氏は、普段どんな研究をしているのか。特別に実験室を見せてもらうと、「これは火星の砂。もちろん本物ではなく、組成的にも粒子の大きさ的にも極めてよく再現して作られた地球上のもの。例えば、火星の地下にあるかもしれない地下水が、どういう化学成分を持っているのか。こういった砂と水の化学反応を実験室で再現している」と紹介。

 宇宙探査機の観測データなどをもとに、その天体と同様の環境を実験室に再現し、そこで生じる現象を分析している。こうした研究の結果、世界を驚かせた発見もある。平均気温マイナス200度の氷に覆われた土星の衛星「エンセラダス」。その地表のひび割れから水の噴出が発見され、探査機「カッシーニ」がその成分を観測した。関根氏は、そこで得たデータをもとに実験を行い、氷の下に熱水環境が現存していることを突き止めた。

 関根氏は「地球上の我々がどう始まったのか。『生命の起源論』の最先端を見ていくと深い海の底にある温泉『熱水噴出孔』と呼ばれる場があるが、原始の生命がそこで起きる化学反応から誕生したんじゃないかというのが有力な説になっている」と解説する。

 生命を育む環境が、地球以外の太陽系に存在することを、世界で初めて実証。そして、こうした可能性を秘めた天体について、「この太陽系の中に1個の天体だけじゃなく、片手に余るくらい見つかっている。そこを重点的に狙って生命を探すのが これから5年10年で行われる」と述べた。

■生命が存在しうる天体ベスト3
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