殺人罪への変更を求め、遺族とママ友たちは署名活動を展開。大切な息子を失い、傷ついた心を癒す暇もなく戦うしかなかった。それでも動かぬ事態を打破するべく、八田容疑者を殺人罪で告訴した。

「書類は受理したものの、結論としては『道交法で最後まで行きます』みたいな雰囲気を醸し出していたので。『精一杯やれることをやっています』という回答しかないので…」(亡くなった大学生の父親)

 2024年6月、別府市長を訪ねて支援を願い出た。「まさに本当にちょっとひどすぎるというか、殺意があったというので間違いないだろうと私なんかも思っている」(大分県別府市 長野恭紘市長)

 さらに、別府でも支援の輪が広がっていた。市内に住む有志が警察に掛け合い、県内でのビラ巻きや、署名活動を開始。殺人罪への変更を訴えてきた。これらの動きと願いが身を結んだ形となり、殺人罪の追加が実現した。

 時効というゴールを八田容疑者から奪ったと同時に、捜査のゴールという締め切りを撤廃したことにもなる。しかし、ゴールなき捜査が長期化する傾向にあることは、いまだ確保に至らない他の逃走事件が物語っている。

天国の息子にLINEで報告
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