■ふるさと住民票とは
新たに登場する「ふるさと住民登録制度」では、希望者がアプリで自治体に登録すると、自治体から登録証が発行される。そして、「ふるさと住民」は行政から情報・サービス提供を受け、地域活動へ参加できる仕組みだ。
これに先立つ「ふるさと住民票」は、シンクタンク「構想日本」が、東日本大震災の避難者をきっかけとする「二重住民票」議論から着想を得て、2015年8月に全国8自治体とともに開始した。現在は12自治体が参画し、「ふるさとへの愛着を可視化する取組み」「基本的にその地域の居住者以外が対象」「自治体ごとに自由に制度設計」といった特徴を持つ。
「構想日本」総括ディレクターの伊藤伸氏は、「(福島第一原発事故の影響で)全村避難した福島県飯舘村の村長が『一時的に住民票を移さないといけないが、アイデンティティーや愛着心が薄れてしまい、戻ってこないのでは』と感じた。村長は当初『二重住民票』を訴えていたが、まずは制度改正でなくできるところからと、構想日本と『ふるさと住民票』を始めた」と経緯を振り返る。
制度創設から、まもなく10年がたつが、「登録者は8500人ほどだが、始めた当初の盛り上がりからは、段々と形骸化していると感じる。ふるさと住民になった人との関わりは、各市町村が考えるが、『広報紙を配って情報提供する』『公共施設は住民料金で使える』といったありきたりなもので、そこから一歩踏み出していない」といった課題を抱える。
■賛否の声
