■薬物依存症の両親から生まれた当事者
多母髪さんは当初、両親のことを「現実を受け止められなかった。薬物依存症で服役していた事実を受け止めて、消化するのに時間がかかった」と振り返る。「完全に消化しきれていない部分もあるが、起きてしまったことは変わらないため、どう受け止めて、前に進むかを常に考えている」。
過去を聞かされて「自暴自棄になった時期もあった」そうだ。「両親が薬物依存であると、ずっと隠されてきた。父親から知らされたときに、周囲の大人にウソをつかれていたと、不信感が湧いた」のだそうだ。
父親と最後に会ったのは2~3年前で、定期的に連絡はしていたものの、現在は連絡をとっていない。母親と最後に会ったのは高校1年生の時で、幼少期の頃から現在まで精神的に不安定な状態が続いている。
親との接触については「会いたい気持ちもあるが、会ったときに傷つけられるのではないかとの思いもあるため、情報をあえて入れないようにしている」と説明する。
■親に対して「恨むつもりも、否定するつもりもない」
