■養子縁組でダウン症の子を迎えた家族

梶原さん家族
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 関西で暮らす、梶原さん家族。高校生になる子どもの将伍さんはダウン症がある。ただ、梶原さんの実の子どもではなく、6歳のときに養子としてやってきた。なぜ、ダウン症の子どもを養子として迎え入れたのか。実は今から27年前、母の梶原澄美乃さんが最初に授かった長女・文乃ちゃんもダウン症だった。

 澄美乃さんは、「心待ちにしていたので、子どもが産まれたことが嬉しかった。色んな意味で楽しさがきっとあるはず」「健常児として産まれてくる子とは違う経験ができるかもしれない」という想いだった。

 文乃ちゃんについては、「心臓に穴が2箇所開いてたので、生後6か月に手術して、元気になった。お医者様は最悪を想定して、いろんなことを言うんだけど、私の頭の中にはほとんど入ってこなかった」。

 澄美乃さんにとって、文乃ちゃんの存在は、「色々なことを教えてくれる。今まで自分たちの知らなかったことや、子どもの病気についてのことは、入院するたびに学んでいける、だから親として成長できるのが1番大きかった」と語る。

 人懐っこい性格の文乃ちゃんは、小学校に進学した後も友だちに囲まれ、楽しい学校生活を送っていた。「偏見の目で見ているのは、親(大人)なのかもしれない。子どもたちは何一つそんなこと思ってなくて、このまま安心していいんだって思った」。

 しかし、文乃ちゃんが9歳の頃、腎不全により、急激に体調が悪化。約2カ月後、息を引き取った。愛する娘が天国に旅立った悲しみ、同時に澄美乃さんは、「ダウン症の子がこれからどうやって育って、どういう人生を歩むのか。どうしても諦められなかった」と感じたという。

 その後、養子縁組でダウン症のある、将伍さんを新たな家族として迎え入れた。澄美乃さんは、「やっぱり1人1人違う。
文乃は絵を描くことがうまかった。将伍は好きなことならなんでも覚える。だから、文乃と違うものをまた見せてくれるので、とても楽しい」と語った。

■気持ちの整理がつかない家族
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