■気持ちの整理がつかない家族
3歳の女の子を育てる母、山内けいこさん。長女のあかりちゃんは、産まれる前に合併症が判明し、出産から3週間後にダウン症と診断を受けた。けいこさんは、「生きててくれてよかったという想いと、とんでもない過ちを犯した気持ちになった。なかったことにしたいと思っていた」。
また、「生後3日目に手術をしなければいけない状態だった。本来だったら『お願いします』って言いたいが、すぐに言えない。当時は逃げたい気持ちがすごくあった」と振り返る。
しかし時間と共に、「今はもう毎日可愛いし、4カ月入院していたので、一緒に暮らせるときは本当に嬉しかった。私たちの場合は周りの訪問看護の方や支援者の方にすごく愛情を持って接してもらえたことが励みになった」という。
夫のたけしさんは、「健常の子と違う部分は全然あるので、少し焦る気持ちと、やっぱり受け入れられてはいない」と話す。産まれる前は、「普通に育って、一緒にスポーツやって…。特別なものは望んでいなかったが、ダウン症であることで、イコールじゃなくなった。もうそれは無理なんじゃないかっていうのが正直な感覚だった」と明かす。
けいこさんは、世の中の風潮に対して、「『ダウン症の子は天使だよね』と言われたことがあるが、率直に『天使じゃなくて人間だしな』って思った。命として産まれてきたことが全てなので、神格化しなきゃいけないことでもないし、受け入れなくてもいい。『何をどう思おうが自由』って割り切ってる部分があるかもしれない」との見方を示す。
あかりちゃんの将来については、「すごく大きな目標で言うと、感謝とごめんなさいが言えて、愛されるような性格に育ってくれると1番嬉しい。そうすれば安心できる」と語った。
■「“思い描いた子どもの未来の変更を受容すること”が最初の受け入れ」
