■30年前の起きた事件「起こしてほしくなかった」

松本麗華さん
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 麗華さんは1983年、松本智津夫(麻原彰晃)の三女として誕生した。1988年にオウム真理教 富士山本部へ移住し、教団内名「アーチャリー」を与えられる。1995年の地下鉄サリン事件により、教祖・麻原が逮捕され教団は解散。その後は後継団体に入らず、16歳で教団とは距離を置いた。

 2004年には大学に進学し、心理学を学ぶ。2015年に本名で手記『止まった時計』を出版、2017 年と2018年にABEMA Primeに出演。現在は心理カウンセラーとして活動している。

 事件については「本当に起きてほしくなかった。あまりにも多くの苦しさやつらさを生み出した事件で、絶対に起こしてはいけなかった」と振り返る。「虫も殺してはいけないという、仏教的な宗教観で育っていたため、実は人を殺していたと知っても理解できなかった」。 

 そして死刑執行となってからは、「そもそもなぜ教団を作ったのか。どういう教団にしたかったのか、そしてどうして事件が起きたのか。どんなことでもいいから知りたかった」と感じている。

 事件の真相が語られなかった理由には、麻原彰晃の精神面もあるとされる。「父と面会しても、一度も意思疎通できなかった。精神科医は父に会い、『あれは治療したら治る』と言っていたため、治して少しでも話を聞きたいと思っていた」。

 逮捕直後には「見捨てられた気持ちもあった」が、面会すると「目の当たりにすると、大きく温かい存在だった父はもういなくて、赤ちゃんみたいに守ってあげないといけない存在に感じた。壊れてしまった」のだという。

■「麻原の娘」と分かると解雇…待ち受けていた差別
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