■「麻原の娘」と分かると解雇…待ち受けていた差別

松本麗華さん
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 これまで麗華さんは、さまざまな差別を感じてきた。「誹謗中傷」は、特に父の死刑執行後は、被害者と比較され「幸せになってはダメ」などと大量に送られたそうだ。「学校の入学拒否」では、高校は1校を除き受け入れ拒否。大学入学試験に合格しても拒まれた(その後、裁判所の命令により大学入学が実現)。「就職先から拒否」もあり、正社員として就職しても、その後「麻原の娘」とわかると解雇になった。

 「銀行口座を作れない」ことも悩みだ。複数の金融機関から口座開設を断られるも、「総合的な判断」と言われ理由は明かされない。「海外での入国拒否」では、韓国・カナダで入国拒否にあい、カナダでは「テロを起こすおそれ」に該当すると説明された。父・松本智津夫の遺骨を次女に引き渡す判決が出たが、国が控訴し、未だ引き渡されていない。いつ引き渡されるか不明だ。

 最初に壁を感じたのは、12歳のときだった。「富士宮の小学校に入学したいと言うと、教育委員会から『お願いだから来ないで』と頭を下げられ、自分はそういう存在だと認識した。そこから、いろいろと拒否されて、いまも行けない国が多く、銀行口座も作れないなど、生活に支障が出ている」。

 一時は麻原彰晃の後継者ではないかと、うわさされた時期もあった。「5歳の時に、一瞬そんな雰囲気があっただけだ。後継者とみなしたのはマスコミだけで、教団内ではそうではない。5歳で “大乗のヨーガ”の位階を与えられたが、個人的には最大の虐待だったと感じている。教団内にいたときも、父の宗教的な価値観だけで『褒められる』『怒られる』が決まるので、達成感もなく怖かった」。

■加害者の家族としての思い「次の世代には聞かないで」
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