「仕事の孤独を感じている方は、半年後に約2.5倍離職しやすい、会社を辞めやすいということをはっきりさせた」(東京大学大学院・川上憲人特任教授)
職場での孤独感と離職についての研究を行った、東京大学大学院の川上憲人特任教授。
川上特任教授らのグループが行った研究によると、仕事において孤独感が「ほとんどなかった」人と比較し、「ほとんどいつもあった」人は離職のリスクが2.46倍高くなったという。東京大学によると、実際の離職との関係について数量的に検討した研究は世界初だ。
世界初の研究に取り組んだのは、川上特任教授のとある思いがあったからだ。
「企業で孤独な人を支えて、回復してあげられる仕組みが進んだら良いと思っている。一つには、企業の方にモチベーションを持っていただく必要があり、孤独な人たちが約2.5倍も離職することがわかると、もう少し企業も真剣に“孤独”という問題を扱ってくれるかなという意図がある」
一方で、職場で孤独感を感じやすいのはどんな人なのだろうか。組織学に詳しい同志社大学の太田肇名誉教授は、以下のように分析する。
「特に日本の場合、新卒一括採用が主流で、横のつながりで歳を重ねていくことが職場の中でのネットワークになっている。例えば中途採用などで異質な人材が入ってくると、共同体の中に入っていけないことで孤独感を感じる」(同志社大学・太田名誉教授、以下同)
すでに築き上げた組織の中に新たに入ってくる中途採用の従業員。外からやってきて、どんな知識や経験をしてきているのか、ある種の“色眼鏡”で見られることで、孤独感を感じやすいという。
他にも大卒就職者が多い中の、“ぽつんと高卒就職者”は横のつながりを作りづらく、孤独感を覚えるようだ。
「最近は大卒が圧倒的であるため、高卒者を採用した際に仲間がいないから孤立してしまい辞めていくケースが多いと、企業の経営者などからよく言われる」
“職場での孤独感” 上司ができることは?
