■勾留332日…なぜ長引いた?
大川原社長は、332日にわたる勾留を余儀なくされた。高田弁護士は「無実を立証するためには、自白したら終わり。裁判が始まるまでの捜査は、黙秘権を行使するのが定石だ。勾留も長引いてしまうが、つらいながらも頑張るしかなかった」と振り返る。
違和感を覚えたのは、どのタイミングだったのか。「1件目の起訴直後に、すぐ保釈請求をしたが、警察から『もう1件事件がある』と言われていたため、2件目の起訴が終わるまでは釈放されないだろうと予想していた。しかし、2件目の起訴が終わっても、検事の意見が強硬で、裁判官がそれに迎合した。相嶋さんががんと診断されても保釈されず、これはおかしいと思った」。
大川原社長によると、「取り調べで自白の強要はほとんどなく、親切に対応してくれた」という。「ただ会社の責任者として、社員に有給休暇を取らせて、取り調べに行かせる。僕が反発すれば、もう行かない。『行くなら休んで行きなさい』となると、あまり取り調べは進まなかった」。
そして、「逮捕は証拠があるからするのが当たり前だ。しかし、それもせず公判前整理手続が始まり、証拠が全部出てきても、ずっと勾留期間を伸ばしていた」と話す。
高田弁護士は「保釈するかしないかは、罪証隠滅のおそれがあるかが重視される。ただ、その基準は非常に抽象的だ。大川原社長には『保釈したら従業員にウソをつかせる』、相嶋さんにも『がんでも保釈したら、証拠を汚染できる』と言っていた」と話す。
■解決策は?
