イランの今後の核開発は?

カタール・アルウデイド米軍基地
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━━イラン国内は不安定になっているのか?

「実は宗教制度についてイランの国内では反発も強く、ハメネイ師の宗教的な権威に対する反感も強かったが、イスラエルが一方的に攻撃を仕掛けてきたことで“1つになって戦う”という意識が高まっていた。だが、アメリカ軍の圧倒的な攻撃などで軍事的な優位を見せつけられると、やはりイランの今の軍事力では対抗できない。この後、イラン国民がこの停戦をどのように受け止めるかはイラン政権が人心をコントロールしていけるか次第だと思う」

━━まだイスラエルとイランの双方から合意を認める正式発表はないが、今後の動きや見通しは?

「停戦が成立するとすれば、日本時間の24日午後1時以降だ。まずイラン側が停戦をし、その12時間後に今度はイスラエル側が停戦をするという手順になっている。実はイスラエルは、テヘランに対して空爆を仕掛け、イランとしては『イスラエルが本当に攻撃をやめるのであれば自分たちは攻撃をやめる準備がある』、そしてイスラエル側も『イランが停戦をきちんと実行するのであれば自分たちも停戦にのる』と言っている。イスラエルとイランは、停戦に合意はしているものの、互いに猜疑心を持って、本当に攻撃をやめるのか疑っている。ここから様子を見る必要がある」

━━停戦合意に至らず、再び攻撃の応酬が続く可能性はあるのか?

「まだその可能性は残っているが、トランプ大統領が双方に働きかけをして、そしてカタールが間に入って直接イランと交渉し、そしてアメリカに伝えた形で停戦が成り立ったと発表されている。だからこの合意を破るということも少し考えづらい」

━━イランの今後の核開発はどうなるか?

「まず、今回のアメリカの攻撃によってイランの核施設がどの程度の被害を受け、何年間分の開発が遅れるかは分からないのでなんとも言えない。だが、イランとしても『核開発をやめる』とは言っていない。元々イランは『軍事利用ではなく、平和利用のために核を開発している』『国の権利だ』という形で進めてきており、核開発を放棄するとは一度も言っていない。その意味で、イランが果たして核開発を続けて、それを軍事転用していくのかどうかという問題はまだ残っていて、国際社会もアメリカも注視しながら協議あるいは交渉するだろう。そしてイランの核開発の実態を掴むためにIAEA(国際原子力機関)も査察に入る努力をするだろう」

━━正式に停戦となった場合、日本にはどのような影響があるだろうか?

「まず、ホルムズ海峡の封鎖はなくなるだろう。今まで通り、石油や天然ガスのタンカーがホルムズ海峡を抜けて日本に運ばれるようになり、経済面では少し安心できる」
ABEMAニュース解説

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